昨日までもて囃されていたものが、今日には否定される。また、昨日まで知り得なかったことが、今日は 拍手喝采の対象となる。情報過多の時代である。
何が正しく 何が間違いか まるで解らない『時間・空間』を生きているのかも知れない。いや、そういう現象を笑い飛ばしたところに 真理はあるのかも知れない。
”ものつくり”として そんな時代の中、何処に価値を求めれば良いのだろうか?
また ものの本質、価値の本質・真理は、何処にあるのだろうか?
我々は、物事の本質、価値・真理を、「人の行為の全てを内包する建築」を通して探求しようとしている。
三蔵法師と孫悟空が天竺に行くような旅に、その答えは未だ見つかってはいない。
しかし、物事の本質・真理を求める感覚を通して、建築を創って行きたい。
もちろん現実を見ると、今日の夕ご飯を作る利便性や、今月の電気代や、目の前の快適を、優先することの方がむしろ多い。そのこと自体が、良いことなのか 反省すべきことなのかは解らないが、クライアントの喜ぶ顔を見ると、ついそちらに寄ってしまう。
ただ 優れた芸術性や音楽性を持つ建築空間に入ると、時間と空間がスローモーションの様に感じることがある。そういう空間に身をゆだねると、意識も細胞も心も全てが 生き生きと輝き躍動してくるように思える瞬間に たどり着く。
こういった優れた建築空間に、少しでも近づけて行こうと考えている。